歌集「五月の王」

著者: 川野里子 / 発行: 雁書館

 

24才から30才までの作品。表現。

二年間を過ごした北国での生活が背景となっています。

1990年10月刊。

 

 短歌のページ に抄録を掲載しています。

 

あとがきから

一九八四年、「かりん」に入会して歌を作りはじめ七年が過ぎようとしています。二十四歳から三十歳までのその期間のうち、二年余を、私は東北の街で過ごしました。生地である九州とも、また住み慣れた東京とも異なる土地の気分はI、II部の背景として働いていることと思います。III部では、主に、現代のどこに自分が置かれているのかを探ることを試みました。作品はここ四年間のものに限り、ほぼ制作年順の配置をしました。ただ、若干、構成を改めるなどの手を加えた部分もあります。「どことも知れぬ国へ行き、何とも知れぬものを持ち帰れ」は、現代という未知の物語に参加してゆく期待と畏れとを込めた、みずからへのエピグラムです。