未知の言葉であるために

著者: 川野里子 発行: 砂子屋書房

 

初めての評論集です。95年以降に発表したもののなかから絞り込んで纏めました。現代短歌の未来をテーマにした「どこへ行くのか」、性と表現についての考察「女という異境から」、短歌の根を近代に探った「どこから来たのか」の三部からなります。(2002年4月刊)

 2002/9/22に開かれた批評会の報告は、こちら

 小山鉄郎氏(共同通信編委)の重書評は、こちら

 

この本の書評(10月末日現在)

『未知の言葉であるために』に、次のような書評をいただいています。ご批判もろとも身に染みて拝読しました。有難うございます。なお、私の方で見逃しているものもあるかも知れません。ご一報いただければ大変嬉しいです。

・毎日新聞02.4.21「新刊」紹介コーナー

・読売新聞02.4.24「短歌 歌う理由自問しつつ」時評(伊藤一彦)

・毎日新聞02.5.8「詩歌の現在 私の3冊」(酒井佐忠)

・山形新聞02.5.16「季節風 新鮮で卓抜な歌論」(松阪俊夫)

・図書新聞02.5.25「短歌クロニクル 他者との出会いとジェンダー批評」
  時評(江田浩司)

・共同通信配信02.5(各紙)「短歌はいま 論者として立つ覚悟」(小島ゆかり)

・週間読書人02.6.14「双方向性の言葉というもの(見出し)」(藤室苑子)

・文藝春秋7月号「短歌時評」匿名

・毎日新聞02.6.23「短歌時評 切実な他者への希求」(米川千嘉子)

・歌誌「かりん」02.6月号時評(渡辺松男)

・歌誌「林間」02.6月号 歌集歌書紹介
  (短いですが、故 市原克敏さん最後の原稿だということです)

・歌誌「心の花」02.7月号時評(大野道夫)

・歌誌「未来」02.7月号時評(大辻隆弘)

・歌誌「みぎわ」02.7月号書評(斉籐真伸)

・歌誌「水瓶」02・8月号(植松法子)

・歌誌「塔」02・8月号(澤村斉美)

・歌誌「音」02・8月号(河田育子)

・歌誌「かりん」02・9月号(米川千嘉子)

・「短歌往来」02・9月号「詠む立場を根底に」(久我田鶴子)

・『短歌』02・11月号 ほんのページ (秋山佐和子)



目次

I どこへ行くのか

・韻文世界と世界文学の交差点(高野公彦・伊藤一彦・小池光を例に)

・太陽と石榴と花(<私>の行方)

・わたしはどこにいるか、どこへゆくか(海外詠からみるアイデンティティーの現在

・この冷えの感覚を(解釈共同体の行方)

・エロス、悪、家族 (岡井隆の今)

・無思想のための思想ということ(中島敦と俵万智にみる定型詩の問題)

・歴史を盗む<私>

・恋の恢復(塚本邦雄の戦後)

・どこが痛むのか(若手歌人と近代)

 

II 挿話

・花 

・越える、流れる、絡み合う 

・王者の道

・ある悲恋のこと

・夢の行方

III 女という異境から

・文芸とフェミニズム

・茂吉と『青鞜』

・描かれない母たち、異境としての母たち

・虚像としての母性(五島美代子、葛原妙子、森岡貞香)

・<社会>の発見(中城ふみ子と三国玲子の戦後)

・幻想の重量(葛原妙子論)

・情という反近代(馬場あき子論)

・相欠けて響きあう

・「血」と近代(与謝野晶子の語彙)

・女という主題(樋口一葉の遺したもの)

 

IV どこから来たのか

・白鳥からとどくもの(初期牧水と現代)

・南へ、その道の先(牧水、白秋、中野重治)

・ホーム(伝統論と白秋)

・写生と「わたし」(茂吉と第二芸術論) 

・見開いて見る、閉じて見る(白秋と茂吉と現代)